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僕たちのロマン、廣岡大志を語る

2021年3月1日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。

スワローズ廣岡大志内野手と、ジャイアンツ田口麗斗投手とのトレード。

客観的に考えば、チーム内では比較的層の厚い内野手のプロスペクトである廣岡選手と、チーム内で特に層の薄い先発投手を埋める田口投手のトレードは、理にかなっていると思う。大卒ルーキーの元山遊撃手が攻守に輝きを見せており、昨年の高卒ルーキーの長岡選手, 武岡選手もイースタンでほぼフル出場するなど片鱗を見せていた。一方、先発投手に関しては高橋投手や木澤投手が春の練習試合で精彩を欠いたことから、高津監督も「先発枠を争うメンバーが、軒並みあまりよくない」と苦言を呈する程だ。

ジャイアンツサイドに目を向けても、先発ローテに入るかどうかという田口投手と、そろそろサードへのコンバートを検討したい坂本選手の次の正遊撃手候補としての廣岡選手のトレードは、悪くないと思う。

頭ではこう理解しつつも、なかなか素直に受け入れらないこのトレード。

廣岡大志さんのロマンを幾つか思い出していきたい。

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2015年ドラフト指名~2016年プロ初打席初ホームラン

智弁学園高校から2015年にドラフト2位指名で入団した廣岡選手。当時過去3年間のドラフト1, 2位を振り返ると、5人が投手で、野手は大卒の西浦選手のみ。久しぶりの大型高校生野手ということで、僕らファンの胸も高まった。背番号は36。池山選手(ショートで5年連続30本塁打。ベストナイン5回獲得。後に背番号1に変更)や川端選手(首位打者1回、ベストナイン1回。後に背番号5に変更)の付けた出世番号を背負ったことからも大きな期待を感じた。

また2015年は、2010年に履正社高校からドラフト1位指名を受けた山田哲人選手がMVPの活躍を見せてリーグ優勝を果たしたシーズン。同じ関西エリアの高卒ルーキーということで、廣岡選手にも並みじゃない期待を抱いた。本人も多少なりとも意識していたと思うし、一時期ピンとバットを立てるバッティングフォームが山田選手にそっくりだった。

そしてルーキーイヤーの2016年、イースタンリーグで10本塁打を放ち、シーズン終盤戦に1軍初打席のチャンスを掴むと、プロ初打席初本塁打とロマン溢れる結果を示してくれた。(ちなみにDeNA三浦投手の引退試合だったのはご愛嬌)

スワローズ暗黒の2017年と、希望の光だった廣岡選手

2017年は、スワローズファンにとって特に辛い1年となった。球団の歴史上ワーストとなるシーズン96敗。勝率は.319。3試合に1試合も勝てなかった。1カードで1勝すれば良い方だったのだ。シーズン途中、普段は温厚なスワローズファンたちから真中監督に「辞めろ」「責任取れ」と罵声が飛び、試合後にクラブハウスからなかなか出てこない監督に「早く出てこい」「シャワーが長い!」と言ったヤジまで飛ぶ有様だったのは語り草。川端選手, 畠山選手といった主力選手に怪我が続出し、2年連続トリプルスリーを記録した若き主砲山田選手も打率.247, 本塁打24, 打点78, 盗塁14という数字に低迷してしまった。

そんな2017年に、希望の光だったのが廣岡大志選手だ。イースタンリーグでは前年を上回る16本塁打(チームトップ)を放った。1軍は圧倒的な最下位だったが、イースタンではリーグ2位。その原動力の一人が廣岡選手だった。(個人的には現実逃避も兼ねて2軍に目を向けるきっかけになった年であり、その意味でも思い入れのある選手だ。)

2018年以降も膨らみ続けたロマン

2018, 2019年と2年連続で開幕ショートスタメンの座を掴んだのは廣岡選手だった。いずれの年も結果的にはレギュラーの座をつかむことは出来なかったものの、着実に出場機会を増やしステップアップしていたと思う。確実性には課題を残しつつも、長打率は2017年から.286 → .313 → .391 → .446と極めて順調に数字を伸ばしている。2019年には開幕から41打席連続無安打という不名誉な記録を残してしまったが、これもロマン砲ゆえのご愛嬌だと個人的に思う。そこから最終的にはシーズンOPSでは.700を超え、二桁本塁打も達成したのは見事だと思う。「ポテンシャルお化け」という言葉がチーム1似合う、ファンに愛される選手だった。

ほんの少しだけ逆風が吹いたとすれば、2019年に後輩である村上選手が台頭したことかもしれない。年下の村上選手が一気にレギュラーを掴む活躍を見せたことで、「廣岡選手もそろそろレギュラー掴むだろう」という期待が良くも悪くも強くなったと思う。ただ20代前半の野手がレギュラーを掴むのは並大抵のことではないし、そもそもポジションを競うような関係でもなく、近い将来2人がスワローズ打線の中軸を担う未来を誰もが期待していたはずだ。20歳そこそこで年間本塁打10本打てる内野手などそうそう居ない。村上選手が一歩先にスターダムを駆け上がっていったものの、すぐに廣岡選手もレギュラーを掴み、2人が形成する球界屈指のクリーンナップがこの先10年間のスワローズ打線を支えてくれると信じていたファンは多いはずだ。少なくとも僕はそうだ。

大志抱け!

それにしても本当にロマン溢れる選手だった。まさに”大志抱け”と叫びたくなる選手だ。神宮球場のライトスタンドに伸びていく廣岡選手のホームランは忘れない。

東京ヤクルトスワローズの背番号36廣岡選手が好きだった。

 

今シーズン以降の活躍を、ひっそりと応援したい。

 

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