先週もスワローズは危機的状況でした。坂口選手、バレンティン選手、石山選手という主力3名が、コンディション不良で登録抹消になっていました。
そこから僅か数日。更なる危機が訪れました。
青木選手、山田選手までもがコンディション不良でスタメンを外れます。また、中村選手や近藤選手も今日出場がなく、コンディションが万全ではない可能性があります。さらに今日、西浦選手も試合途中で交代し病院に向かいました。
開幕スタメンの1-4番、正捕手、正遊撃手、そしてセットアッパー、クローザーが試合に出られない状況です。打撃の中心（1-4番）、守備の中心（センターライン）、リリーフの中心（8,9回）を欠くという超危機的状況です。
そんな中、チーム全体で繋いでリードを奪い勝利を掴みました。首位ジャイアンツ相手に嬉しい連勝で、敵地での勝ち越しを決めました！
「（けが人が）めちゃくちゃ多い。やばいよ。いない選手はすごい選手ばかり。でも、残っている選手がダメかというと、そうでもない。みんなで力を合わせると、巨人にも勝てるんだよ。（連勝は）かなり大きいね」と雄平は、結束力でつかんだ連勝にうなずく。
山口投手に24球投げさせた初回の攻撃
相手先発の山口投手は、ここまで4勝負けなし防御率1.98と素晴らしい成績を収めています。スワローズとしても、実にやりにくい相手です。4/23の試合では、スワローズ打線はほぼフルメンバーが揃っていましたが、8回無失点に抑えられました。今日も大量点は見込めないと誰もが予想していたと思います。
今のジャイアンツの唯一と言っていい弱点は、リリーフ層の薄さです。なので接戦に持ち込み、山口投手を少しでも早い回に交代させることが、勝ちに繋がるシナリオでした。
このシナリオを実現させるためにも少しでも山口投手から球数を稼ぎたい中、1回表の攻撃で組織としてしっかりボールを見極めて24球投げさせたことは大きな意味があったと思います。打者5名全員が、2ストライクに追い込まれてからの勝負でした。特に山崎選手は2ストライクと追い込まれながらも、3球目をしぶとくバットに当てて内野安打。相手にボールを投げさせつつ、なんとか出塁をするという狙いがよくわかる素晴らしい打席でした。
結果この回は先制点を取れませんでしたが、チームの狙いを組織的に実践することができた良い攻撃だったと思います。
粘りが生んだ山崎選手の先制タイムリー
2回のスワローズも、得点こそ奪えませんでしたが山口投手に対してよく粘りました。
3回表先頭の太田選手がよくボールを見極めてフォアボールで出塁。この時点で山口投手は47球です。
そして迎えた山崎選手の打席。この日チームとして初めてファーストストライクを振りぬき、見事に右中間を振り抜くタイムリースリーベースを打ってくれました！
これまでチームとして徹底的にボールを見ていく姿勢を見せていたからこそ、山口投手もファーストストライクの入りが甘くなったのではないでしょうか。そしてその球を見事に一撃で捉えた山崎選手。見事なタイムリーでした。
打った山崎選手はもちろんですが、この打席まで組織として徹底的に山口投手に対して粘ったスワローズ打線が生んだタイムリーだと思います。
チームが苦しい時こそ「組織力」
チームの状態が苦しい時ほど「組織力」がモノを言います。チームの状態が悪いと一発で局面を変えてくれるような「個」の力を求めたくなります。
今日のスワローズの試合の場合、10代で4番を務めることになった村上選手にヒーローになって欲しいと思ったスワローズファンはたくさんいると思います。しかし状態が悪い時に、一人のプレーヤーに期待を背負わせすぎれば、過剰な負担でそのプレーヤーの成績も下がり、チームのパフォーマンスは更に低下してしまいます。2017年のスワローズと山田選手の状態が近いでしょう。野球に限らず、ビジネスなど一般の社会でも当てはまる話だと思います。
チームの状態が悪い時ほど、ひとりの「個」に頼るのではなく、チームの「組織」として何ができるか考えてそれを実践することで、次の突破口が生まれることが多いものです。今日のスワローズ打線は、「組織」での粘りで勝利を掴みました。
主力選手がコンディション不良から復帰し、チームの状態も上がってこれば、次は「個」の力で勝利をもぎ取るサイクルに入るでしょう。そこでは主力選手だけでなく、今日活躍した若手たちが日替わりヒーローとして「個」の力を発揮する場面もあると思います。
今は「組織」の力で持ちこたえる時。来週も好調カープとのビジターゲームという厳しい試合から始まります。今日のように組織力で勝利をつかんで欲しいです！
